これからの家庭学習のかたち
教育ジャーナリスト・高本健吾先生
モンドAIの新しさ:問いかけが育てる思考力
近年、AIを活用した教育サービスは急速に広まりを見せています。しかしその多くは、問題の自動出題・自動採点・正解提示に特化した「効率型」の学習支援に偏っているのが実情です。そこに登場したのが、“子どもが自ら考えること”を支援する対話型AI「モンドAI」です。モンドAIとの出会いは、教育に携わる一人として非常に新鮮で、強い関心を持たされました。
私はこれまで、教育委員会にてICT利活用を推進する立場で数々の教材・システムに触れてきましたが、モンドAIのような“問いかけ型”のAIに出会ったのは、私にとって初めての経験でした。これは単なる情報提供を超え、「子どもと共に考えるパートナー」としての理想に近いものだと、心から感じました。
モンドAIの特に印象的だった点は、子どもが入力した自由な回答に対し、「模範解答」や「〇×」を返すのではなく、さらに深掘りするような問いかけを返す点です。
例えば、「朝ごはんを食べるとどうなる?」という問いに対して、子どもが「元気が出る」と答えると、AIは「どうして元気が出ると思ったの?」と返します。このやり取りの中で、子どもは自分の中の考えや理由を探り、“言葉にする力”と“根拠を持って説明する力”を自然に鍛えていくのです。
これはまさに、思考力・表現力を育む探究型学習のエッセンスそのものであり、教室で先生が行っている「問い返し」や「促し」を家庭内でも再現できるという点でこれまでの学習スタイルとは異なるアプローチであると感じました。
さらに、保護者が子どもの成長を見守るための仕組みとして「AI通知表」の存在は非常に有意義です。ICT支援の立場で数多くの教育ツールを見てきた中でも、これは特に“家庭での成長を記録できる”という点において、有意義さを強く実感しました。子どもが日々AIと交わすやりとりをもとに、「思考力」や「関心の傾向」などをレポート形式で可視化してくれます。これは単なる成績表ではなく、子ども一人ひとりの思考の軌跡を記録する“学びの成長記録”とも言えるでしょう。
家庭での対話を生む仕組みとは
家庭での学習において、子どもと保護者の間に「勉強に関する自然な会話」を生み出すのは意外に難しいものです。とくに低学年〜中学年の子どもにとって、「なぜそう思ったの?」「どう考えたの?」という問いは、言語化の訓練がなければ答えにくいものです。
モンドAIはこの「思考の言語化プロセス」を、AIとの対話の中で少しずつ引き出してくれます。
さらに保護者用ページでは、子どもの回答履歴ややり取りの流れを把握できるため、親も「あなた、昨日“こう思った”って言ってたけど、今日はどうだった?」と自然な会話のきっかけをつかむことができます。
つまりモンドAIは、家庭内に“思考の共有”という対話の文化を育てるきっかけとなるツールとも言えるのです。
実際の対話体験:ぬいぐるみの例から
また、モンドAIを実際に体験して最も印象的だったのは、AIが投げかける「問い」の絶妙な設計です。たとえば、「大切なものってなに?」という問いに「ぬいぐるみ」と答えると、AIは「どうしてぬいぐるみが大切なのかな?」と返します。ここで「小さい頃から一緒に寝てるから」と入力すると、「長く一緒にいると、どんな気持ちになるの?」と続きます。
このように、子どもの自由な回答を受け入れた上で、それを出発点に次の問いを自然に導き出していくやりとりは、まるで熟練した教師の“ファシリテーション”のようです。私自身、このような“感情に寄り添いながら深く考える体験”をAIと行うとは思ってもいませんでした。まさに“思考と感情を育むAI”と呼びたくなります。
学習と直結する「カメラで質問」機能
また、モンドAIには学習中の子どもが感じた疑問を、ノートやプリントに書いた状態でカメラ撮影し、そのままAIに質問できる「カメラで質問」機能もあります。この仕組みにより、子どもは「いま、わからない」と思った瞬間に、素早くAIに相談することができ、疑問を放置せずその場で“自分の言葉で考える”機会へと繋げられるのです。
こうした柔軟な入力方法と自然な問い返し設計の組み合わせによって、子どもたちは単なる正解学習ではなく、「なぜ?」「どうして?」「他の考えは?」という探究的思考を日々の中で楽しみながら育てていけるようになっています。
ChatGPTとの違い:安全性と設計思想
昨今では多くの家庭が生成AI(ChatGPTなど)を活用し始めていますが、モンドAIはそれらとは一線を画しています。モンドAIは子どもが使うことを前提に設計されており、「思考力の低下」「不適切なコンテンツとの遭遇」「誤情報への信頼」「AIを人と誤認する危険」といった、一般の生成AIが抱えるリスクを徹底的に排除しています。これは、教育現場や家庭が子どもに安心してAIに触れさせられるための必須条件だと感じます。
教育の最終目的は「正しい答えを覚える」ことではありません。自ら考え、自らの言葉で表現し、他者と分かち合える力を育むことです。モンドAIは、まさにそのための「言語と思考の練習場」を提供しています。
これは、著書『子どもには子ども向けの、モンドAI』でも提唱されているように、「答えを教えるのではなく、問いかけを通じて子ども自身に考えさせる」アプローチが、思考力と自己表現力の育成において重要な鍵となるからです。
教育者としてモンドAIを推薦します
教育的な視点から見ても、モンドAIのアプローチは極めて先進的です。未来の子どもたちが「自分の考えを、自分の言葉で語る力」を育てるために、私自身、このツールが今後の家庭学習において大きな可能性を持つと感じています。家庭に、そして教育に、あたたかな“考える対話”をもたらす存在として、一教育者として、そして一保護者として、モンドAIがもたらす家庭内の“考える対話”の価値を強く実感しており、自信を持って推薦させていただきます。
